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Carta Cetacea

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 昔むかしの海図には、不思議な姿の生き物たちが描かれていた。船より大きなウミヘビ、するどい牙 の生えた鯨、巨大なザリガニなど、誰も見たことのないような生き物。海が未知の世界だったから、人々 は船乗りや旅人たちが伝えた物語や言い伝えから、そんな生き物がいると想像した。遠くの国へ旅する ことも、世界の全てを自分の目で確かめに行くことも難しかった時、想像力は世界を広げる力だった。 めったにないことだけど、海辺を歩いていると、砂浜に打ち上がったイルカや鯨に出会うことがある。 あるいは、かつてその体の一部だった白い骨に。果てしなく広がる海で生きていた彼ら一頭一頭の旅を 思うと、心は陸地から離れ、海の向こうへ泳ぎだす。サンゴが華やぐ南の海。氷がきらめく北の海。ど こか遠くの海辺で、誰かが「あの島、鯨みたいな形」とつぶやいて、見慣れた風景から新しい物語がは じまることもある。大きな街の真ん中で鯨の化石が見つかって、かつてそこも海だったと知ることだって。 海は、果てしない世界への入り口だ。かつて、タルマイ浜と呼ばれた苫小牧の海辺から、この海と、 この海につながっているたくさんの海辺の物語を編みなおしてみたら、どんな風景が見えるだろう?
「Carta Cetacea くじらじまの海図」は、鯨の背中に乗るように、広い海を物語で旅するフリーペーパー。


 江戸時代から明治にかけて「樽前浜」と呼ばれてきた勇払(ゆうふつ)~苫小牧~白老一帯の海辺は、イ ワシ漁の浜として全国にその名が知られていた。イワシ漁の記憶と、イワシを連れてくる存在として大 切にされていた〈鯨〉にまつわる物語を糸口に、かつてここにあった風景と、今ここにある風景とのあわ いを編む。そうして紡がれる言葉と表現が、幾層にも重なった記憶の深みに差す光のように、眠ってい た風景をたちあがらせるだろう。タルマイ浜とタルマイ浜に続く海辺の物語を集める活動として、美術家・ 是恒さくら、NPO 法人樽前arty+、苫小牧市美術博物館を中心に、年発足。苫小牧市美術博物館に て2022年1月より開催される企画展「NITTANARTFILE 4: 土地の記憶」に向け、年10月よりフリー ペーパー「 Carta Cetacea くじらじまの海図 」を発行。


お問い合わせ ordinarywhales@gmail.com [ 担当:是恒 ]
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「海 岸 線 の〈 いま〉と〈 むかし〉」